内容紹介
「台北高校に入学すれば、もう丸刈りにしなくていい。長髪だってOKなんだ!」 「授業は大変で、日本語・ドイツ語・英語が必修なんだ。」 「校内には“自由の鐘”があって、芭蕉の葉をモチーフにした校章は、画家・塩月桃甫のデザイン。」 「文芸部の雑誌『翔風』がつまらないって? それなら自分たちで雑誌を作ればいいじゃないか――」
1930年代、自由と自治の校風を掲げた当時唯一の台湾の高等学校「台北高校」。その学生寮「七星寮」に、ひとりの少年が入寮する。
葉星橋。家族の期待を背負い、狭き門の中の狭き門をくぐって、医師を志し北へ向かう――
そして同室となるのは、名物トラブルメーカー・南城雲太郎。自由奔放で読書家だが、授業をさぼりすぎて退学寸前という男。
性格も生い立ちも正反対のふたりが、やがて親友となる。青春の憧れと迷いを胸に、知と自由の揺りかごで日々を送るなか、ある日南城が言う。 「型にはまった『翔風』なんかじゃつまらない。僕らの雑誌を作ろう!」
漫画家・左萱が丁寧な取材と繊細な筆致で描く、1930年代の台北高校。学生たちの社交、校外活動、破れた制服に満ちる青春の姿――時代を超えて心に響く記憶の断片が、ここにある。
関連事項
- 第45回文化部「小中学生向け推薦図書」に選定
- 『芭蕉的芽』vol.1、第14回金漫賞・年間漫画賞にノミネート
- 『芭蕉的芽』vol.2、第18回日本国際漫画賞にて優秀賞を受賞