内容紹介
1940年代、第二次世界大戦も終盤を迎えた頃――
台湾の空は軍用機に覆われ、爆音が鳴り響き、空気には火薬のにおいが漂っていた。
そんな不安定な時代の中、
ふたりの熱血少年が、走ることをきっかけに出会う。
鉄道を愛する宮原涼は、その情熱を尹立森に伝え、
ふたりは、疾走する列車のような胸の高鳴りを感じながら、
日本の陸上競技史に名を残すことを夢見る――
それは、互いに切磋琢磨しながら駆け抜けた、眩しくも無垢な時間。
だが、戦争の影が刻一刻と迫る中、
ふたりの願いは果たされるのだろうか?
鉄道専門家・蘇昭旭氏と、国家発展委員会・公文書館の専門監修を得て、
金漫賞受賞作家・簡嘉誠が、文化部指定の重要文化財である台湾鉄道の記録をもとに丹念に描く。
『時空鉄道の旅』『阿里山林鉄奇譚』に続く、
鉄道×陸上競技をテーマにした、青少年の成長を描いた感動作。
読者をあの時代へと連れてゆく、懐かしさと熱さに満ちた一冊。