内容紹介
物語の舞台は、1935年に開催された「台湾博覧会」の時代背景。
制作に2年をかけ、繊細な画風と徹底した歴史考証で、日治時代の台北市の建築、衣装、風俗などを時空を超えて再現。
幻想的な要素と遊び心あふれる物語が織りなす、感情豊かなロマンティック絵巻。
フランス・シャンベリ国際漫画祭で招待展示された、AKRU渾身の2年作。
1935年の台北――
夢のように美しいその街は、夜になっても不思議な光を放っていた。
北城の一角にひっそりとたたずむ、名を「百画堂」という喫茶店。
1階では甘いお菓子と立ちのぼる香り、女給たちが忙しく動き回る。
そして2階は、一般には開かれない店主の書斎。
そこには膨大な蔵書、多彩な収集品、そして――人には見えない「幽霊」が潜んでいた。
『北城百画帖』は、歴史の中に幻想を織り交ぜながら、どこか懐かしくも不思議な台湾を描き出す。
忘れられた幽霊がひとり静かに読書を続ける書斎。
幻想の台湾博覧会では、人々が熱狂に包まれ、空への憧れを抱く少年が空を見上げる。
仮装パレードのオープンカーが、三線路を通り抜け、
昭和の空気が薫るロマンチックな世界が、いま幕を開ける――