読み方 | ツェン・ヤオチン |
英文表記 | Tseng Yao-Ching |
作品
作者紹介
1989年、台湾・高雄生まれ。国立台湾師範大学美術学科卒業。
絵を描き、物語を語ることへの深い欲求を満たす手段として創作に取り組み、それを自身の「生きる理由」の補完と位置づけている。作品の多くは自身の夢の記憶から生まれ、それを核として、現実世界に存在する「生の平面」と呼応する鏡像的な劇場空間へと、層を成して変形・膨張していく。その鏡像の次元において、「存在の痛み」を和らげるためのさまざまな可能性を実験的に探っている。そうした実践の中で、独自の語りのスタイルを築き上げ、個の自立した生存意識の境界を解体し問い直そうとしている。
物語は完成を目的とせず、むしろ「物語が完成されうる複数の可能性」を提示することに重きが置かれている。背景や登場人物の描写には一定の曖昧さがあり、要素同士の関係性のみを示すことで、読者が断片的な情報の中から自らの解釈の糸口を選び出し、物語を自分自身の手で編み上げていくよう誘導される。
個人制作では、自身の精神世界を探求・描写することに焦点を当てており、その深層から発する視点で、生活経験を通じて屈折した外界の風景を表現している。夢、劇場、鏡像世界、そして価値・ジェンダー・性愛の多様性に関する解体的な置換を主題としながら、素材や画法、スタイルにも常に挑戦し、それぞれの物語に最適な表現形式を模索。形式を単なる媒体の枠を超えて、物語そのものの一部へと昇華させることを試みている。
【経歴】
2018年 フランス・アングレーム国際漫画祭 台湾館 出展アーティストに選出
2020年 『夜長夢多』で金漫賞 年間漫画賞に共同ノミネート
【代表作】
『說故事遊戲』、『縫裡嬉戲』、『草風』、『公園』、『島』、『異鄉人』、『3/2』、『夜長夢多-審問』、『漫畫的女兒』